アンコールワットのある街、シェムリアップに住み、
現地の人たちと暮らしたスタッフが
ローカルミックスな旅のご提案をお届けします。
カンボジアの国旗やお金にもモチーフとして描かれているアンコールワットは一度は訪れたい世界遺産として世界的にも有名な観光地ですが、一方で現地の人たちがお参りについでにお堀の周りでピクニックをしたり、サイクリングにきたりする日常の場でもあります。
観光客が寺院内を見て回っている傍ら、現地の人々がお参りをしている、という光景もよく見られました。
アンコールワットはヒンドゥー教と仏教の要素が混ざっている寺院ですが、レリーフにはヒンドゥー教の聖典の一つでもある叙事詩「ラーマヤーナ」に出てくるストーリーが多く描かれています。
中でもデヴァターと呼ばれる女神のレリーフが多く彫られています。ほとんどの女神は歯を見せずに微笑んでいるのですが、数体だけ、歯を見せた表情で描かれている女神がいらっしゃいます。現地へ行かれた際にはレアなデヴァター像を探してみるのも面白いかもしれません。見逃したくない方は事前にガイドさんにリクエストしてみてください。
カンボジアに訪れるなら乾季がおすすめですが、1年の中でも一番オススメなのが春分の日です。
アンコールワットはヒンドゥー教の中でも太陽神であるヴィシュヌ神を祀るために建立されていることもあり、春分の日と秋分の日には中央塔の真上から朝日が昇るよう設計されているのです。
もちろん1年通してアンコールワットでの朝日鑑賞は定番になっていますが、特に乾季の春分の日は雨季に比べてお天気の心配をすることなく、精密に計算された美しい日の出を見ることができます。
美しい朝日を見るためには早起きの必要があります。大体日の出は5時半~6時半ころ。日の出の時間にはアンコールワットに到着していなければいけないので、ホテルを出発するのは早い時期だと4時半前後になります。
元気な人は日の出のあとそのまま遺跡観光に入ってもいいわけですが、ちょっとしんどいよね...という方には、ホテルに戻って朝食、その後はちょっとプールサイドでうたた寝をして午後に備える、というゆったりとした過ごし方もおすすめです。
ちょっと休憩して元気になったら、街なか散策を。お土産物屋さんや日用品店、食品店、宝石店などが雑多に軒を連ねるプサー(市場)は見ているだけでも楽しい場所です。
お土産物屋さんは値札がついていることがほとんどですが、ローカルの人も利用するようなお店では値切り交渉をするのも楽しいかもしれません。英語や日本語が通じることも多いですが、せっかくなので「タライ ポンマーン(いくらですか?)」「ソム チョッ タライ ボンティッ(まけてください)」クメール語(カンボジア共通言語)で話しかけてみてはどうでしょう。交渉が成立したら笑顔で「オークン・チュラン(ありがとうございます)」もお忘れなく!
シェムリアップ郊外に「伝統の森」と呼ばれる小さな村があります。京都に生まれ、手描き友禅の職人をされていた故・森本喜久男氏が1996年にクメール伝統織物研究所(IKTT)というNGOを立ち上げ、その後2003年に自ら開墾し、IKTTのメンバーと村民とともに、内戦時代に失われかけたカンボジア伝統の絹織物の復興と、伝統的養蚕に取り組んでいる村です。
森本氏がまだご存命だった2014年、その頃は毎年3月に蚕まつりという蚕供養と製品紹介のファッションショーが行われており、「伝統の森」を訪れたことがあります。
蚕を育てるための野菜や桑・綿花は村の畑で男性たちが栽培、養蚕、染色のための自然染料も自給して、村の女性達が子供を遊ばせながら機織りをする、その村の中だけで世界が完結している、そんな村でした。
森本氏は高床式の家のテラスでたばこをくゆらせながらにこにことその風景を眺めていらっしゃったのが印象的でした。
森本氏の意思を継いだIKTTの運営の方々と、森本氏の育てられた染め手・織り手の村民の方々が今も高品質なカンボジアの伝統的なシルク織物を後世につなげながら産出されています。
遺跡観光も良いですが、せっかくシェムリアップに行くのなら「伝統の森」もぜひ訪れてみて欲しいスポットです。
日中は遺跡観光で体力を使い切ったから、夜はゆっくり...といきたいところですが、カンボジアンサーカス「Phare」はMust See な夜のエンターテイメントです。
この「Phare」というサーカス団は内戦時代の難民の青年たちによって結成されたNPOによって運営されていて、収益の一部はパフォーマー養成学校の運営に当てられています。
サーカスと言ってもピエロや猛獣が出てくるようなものではなく、シルク・ド・ソレイユのようなジャグリングや空中ブランコなどの大道芸的パフォーマンスで魅せるショーです。
ストーリーはクメール語でアナウンスされますが、英語と日本語の字幕もあるので安心です。観光客だけでなく、地元の子どもたちの楽しみにもなっているようです。
こじんまりとしたサーカステントの中でほんの十数センチの距離まで演者が迫ってきて、観客も気づいたら一体となって会場を盛り上げている、とても不思議な一体感を感じる一時を過ごせること間違いなしです。
定番の遺跡観光はもちろん楽しんでいただきたいですが、見どころは他にもたっぷり。
特に今回ご紹介したIKTTやPhareのように、いわゆる開発途上国への単純な金銭・物資支援ではなく、継続して自立していける仕組みづくりがされている団体が生み出すプロダクトがあるということを知っていただければ嬉しいです。
観光地で単純に消費するだけでなく、観光することで支援になる、という新しい関わり方がもっと広まっていけば良いな、と思います。
■ いつかの旅に
・アンコールワット観光ツアー
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・伝統の森訪問ツアー
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・カンボジアンサーカス「ファー」
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・シェムリアップのアクティビティをもっと見る
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