もうひとつの京都、
天橋立へ
Talk#22. Amanohashidate

天橋立の絶景と宮津湾の海の恵み。
市内だけが京都じゃない。
日本神話の舞台へ、暮らすように旅してみませんか?

◆ Profile:
VELTRA TK:ベルトラ株式会社 国内事業部所属。旅先での出会いに心揺さぶられ、旅の魅力に取りつかれ数十年。再訪したい街は、真冬、極寒のプラハ。

一年を通して何度も訪れたい場所、
天橋立・宮津

冬の絶景スポットとして紹介されることの多い天橋立ですが、冬に限らず一年を通して何度も訪れたいと思う私にとっての「もうひとつの京都」がこの場所です。

阿蘇海、宮津湾に囲まれた豊かな海からの恵みは、四季折々に人々を引き付ける大きな魅力、宮津産のお魚は京都市内でも、もちろんいただけますが、産地でいただくとれたては格別です。そしてやはりなんといっても、天橋立の絶景。ぜひ一度は見ていただきたい景色です。

ものすごく遠いところ、というイメージを持つ方も多いようですが、列車やバスで京都駅から約2時間。日本の原風景を思わせる車窓の景色に見とれているうちに、あっという間に到着します。現地でしっかり楽しむには2泊、時間が限られているのであれば日帰りで楽しむことも可能な距離です。

天橋立ビューランドから臨む天橋立 飛龍観

伝説や神話に登場する天橋立

こんなに美しく不思議な場所があるのかと心ゆさぶられたのは、私たち現代人だけではないようです。かつてこの地に暮らした人々は、この不思議な景観の砂洲を伝説や信仰と結び付け、大切に守り残してきました。

丹後国風土記逸文では、イザナギが天界と下界の行き来のために使っていた梯子が、海に落ちて天橋立になったと記されています。古事記に登場する国つくりのシーンでイザナギとイザナミが立っていた天の浮橋が、この天橋立だという説もあります。また、天橋立の脇に建つ智恩寺では、文殊菩薩が手にしていた如意が海に浮かび、そこに龍神が土を盛り、天橋立にしたという伝説も。

自然にできたとは思えないあまりにも不思議な地形ゆえに、古代人も想像を無限に膨らませて、この風景を眺めていたのでしょう。どの説にも、神様や菩薩様が登場するところから、この土地で不思議な力を感じていた人々も多かったのではないでしょうか。

どう楽しむ?天橋立・宮津

2.6km続く松並木、天橋立を体感する

遊覧船に乗り、海から天橋立を眺めながら対岸へ移動というのが手っ取り早くて簡単ですが、せっかくの天橋立、自分の足でのんびりゆっくりと歩いてみてはいかがでしょう。

少し早起きした朝に、ジョギングするのもいいですね。宮津湾から昇るまぶしいほどの朝日を全身に浴び、旅先の特別な1日をスタートさせましょう。生活道路としても使われているので、自転車の学生さんや、のんびりとお散歩されている地元の方と行き交うこともあり、少しだけ、「暮らしている」感覚を味わえます。

夕暮れ時には、長く伸びた松の影が遊歩道に浮かび上がります。左右両側から聞こえてくる波の音、背中を押すように吹く風、砂と松葉を踏みしめる足の裏のやわらかい感触、その音、海の香り、沈みゆく太陽、包み込まれるようなやさしいあたたかな光。

体中の感覚を使って天橋立を感じてみる、そんな時間がゆったりと流れます。

夕暮れ時の天橋立 阿蘇湾側から夕日が差し込みます

宮津の街歩き

絶景スポットだけでなく、文化や歴史に興味がある方は、是非、宮津駅周辺の街の散策へ。

波乱の人生でありながらも、自分の生き方を貫いた女性として知られる細川ガラシャ、この地を語る時に必ず登場する人物です。父、明智光秀の謀反、そしてキリシタンへの改宗、この2つの出来事が彼女の人生を大きく変えました。

細川ガラシャ像

細川忠興に嫁ぎ、3人の子供に恵まれ、愛にあふれた幸せな時間を、ガラシャは宮津城で過ごしました。宮津城の遺構は残っていませんが、復元された城壁は、街中で見ることができます。宮津の町のシンボルのひとつでもある細川ガラシャ像は、かつて宮津城のあった方向をまっすぐに見つめ、祈る姿で佇んでいます。

人々が互いに認め合い、寄り添って生きる平和な世界への祈り。組まれたその手は力強く、時を超えて、今を生きる私たちの心にも訴えかけているかのようです。

宮津の見どころをもうひとつ、ご紹介。宮津の街を歩いていると、カラフルに彩られたお地蔵様が、祠の中から町を見守る姿が目をひきます。「化粧地蔵」と呼ばれるもので、毎年8月の地蔵盆毎に、隣組の子供たちにより、個性あふれるお化粧がほどこされます。

1年限りの装いで、翌年にはまた違った色やデザインに塗り替えられます。年毎にお姿を変えるオシャレなお地蔵様に会うのも、宮津を訪れる旅の楽しみです。

街中に点在するカラフルな化粧地蔵 8月後半の地蔵盆に塗り替えられるので年毎に異なる装いに。

最後に:
美しい天橋立を次世代に残していくために

天橋立は、川から流出した砂礫が別の川の流れで押し流され、さらに複雑な海流が加わることで出来上がった自然の地形です。砂でできた洲なので、海流の影響を受けやすく、ほおっておくと砂浜の砂は流され、砂洲はどんどん小さくなっていきます。

松林も肥沃な土壌であるがゆえに、長く根を張らなくなっていることから、台風で倒木する被害がでています。また、松の木は土壌の栄養が豊富になると広葉樹へと遷移するため、松が育成しにくい環境を生み出します。

白い砂と松林が作り出すこの美しい景観を守り、次世代に受け継いでいくために、たくさんの人々の手によって、継続的な保全活動が行われています。

観光で訪れる際には、環境保全へのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。


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