[読み物]

パリから「シャンパン」へ
#10.
France

辻仁成さんオンライン・パリツアーは大盛況のうちに幕を閉じました。応援いただいた皆さま、改めて御礼を申し上げます。辻さんと旅することで、景色だけでない深い何かを感じられた方も多かったことでしょう。同じフランスでもこちらはシャンパーニュ地方。いつか辻さんと歩きたいものです。

今回は「ワインのお話し」(2部作)の第1章:シャンパーニュ編をお届けします。

◆語り手:
VELTRAあずさ: ベルトラ株式会社 ワイン事業プロジェクトチーム / 全面協力:フランス観光開発機構  

2020年1月4日。
シャルル・ド・ゴール空港に降り立った。フワフワしたエレベータ―を通り抜け、まるでカタツムリの中へ入るように。パリには寄らず、目指すはエペルネだ。

極寒のフランス、ストライキが始まるのではないか、という不安。

今も頭をよぎる、恩返しの気持ち。まだ何も返せない、伝えられていない。早く。早く。私たちの感謝の気持ちを伝えなければ。


それは10ヶ月前。
旅の理由。「19年度ワインツーリズム大賞 LES TROPHÉES DE L’ŒNOTOURISME」で選ばれた受賞者であるワインの造り手達が、日本に招かれ、そして我々ベルトラに会いにきてくれたことだ。

土地を守る醸造家達たちの、偽物ではない真っ直ぐな情熱。やはり人の気持ちを動かすのは、いつも人だ。彼女たちの言葉が私たちの心を揺るがせ、本気で応援しよう、そう決心させてくれた。その後、商品作成や取材のためフランスへ向かうことが決まる。はやく想いを形にしたい。そんなことを願いながら、私たちは約1,000kmのフランス3大銘醸地を巡る旅に出た。


1日目。
最初の目的地は、パリから東に約130Km離れたシャンパーニュのメイン都市「ランス」。極寒の中、私たちを出迎えてくれたのは夜空の中に白くそびえたつ「ランス・ノートルダム大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame de Reims)」。幸運なことに期間限定で行われているプロジェクションマッピングに遭遇する事ができた。幸先のよい旅になることを予感させる、素晴らしい夜。



2日目の朝。
優しい笑顔のロマンさん(シャンパーニュ観光局)と喜びの再会。彼の車に3人の荷物をずしりと詰め込み、いざ出発。「シャンパーニュ ポメリー(CHAMPAGNE POMMERY)」水色のシャトー、シャンパン博物館も兼ねた綺麗で広大な敷地で見学ができる。

100段を超える階段をどんどん下り、薄暗くひんやりとしたした地下室に。シャンパンの熟成はここで行われていた。「KYOTO」と書かれたカーブ!ここにあるシャンパンは全て日本に送る分。

シャンパンはポメリー婦人によって大きく繁栄した。今私達が楽しんでいる辛口のシャンパンを初めて創った。「食事にあうシャンパンを」という先見の目が、ポメリーを世界的な地位に押し上げた。シャンパンと呼べるのは、ここシャンパーニュ地方で醸造されたものだけ。

さて、次はランスを離れ、少し南の「エペルネ」へ。

女性醸造家ソフィアさんが造る華やかなシャンパンと地元の食材をふんだんに使ったペアリングが素晴らしい「ミッシェル・ゴネ(Michel Gonet)」。ボトルにかわいらしい花のデザイン。ソフィアさんが季節の花を描いたもの。この創造力や感性がシャンパン作りに繋がるのかと感じ入る時だった。



3日目、モンテロン村。
マイナス10℃の厳しい寒さ、温かな笑顔で「ジュリアン・ショパン(JULIEN CHOPIN)」と再会。オーナーでもあるジュリアンは朗らかで陽気。自慢のシャンパンを開けながら、畑や醸造の今、について語った。ところで「あれ持ってきた?」。彼は日本の「梅酒」が大好物。彼の作る独特で強いワイン「ラタフィア」は梅酒ととても似ている。文化は実に不思議なところで繋がっていた…。

ワイナリー同士で協力し、代々ワイン造りが盛んなモンテロン村を守り続けてきたこと。地産地消にこだわり、18世紀から続く畑を絶やさず耕してきたこと。ブドウ畑と同じ、石灰質の土を使ったカーヴ(貯蔵庫)の壁がもろく、形を変えていくのも、その歴史を感じとれる証だということ。彼はいきいき語り出した。

「このあたりの村は昔から多くの流れ星が降ってくる土地。僕の家系は代々この流れ星が降る素晴らしいテロワール*と一緒にワインを作っているんだ。」きめ細やかで星のような泡と、ジュリアンのやさしさを感じる味わい。こんなロマンチックなテロワールで造られたシャンパンを、日本の人たちにも是非飲んで欲しい。彼の想いを届けたい。

*注)テロワール=フランス語で「土地」を意味し、地形や土壌、気象条件などぶどう畑における自然環境すべてを指す


100kmほど南に下ったトロワでは観光局の二コラさんと合流し、「ジャック・ラセーニュ(Jacques Lassaigne)」へ。なんと、日本で初めてワインの醸造を手掛けた山田宥教氏と詫間憲久氏がワインの製法を学んだ場所だ。140年も前にフランスのこの場所で日本人がワイン造りをしていた驚き。その当時のカーブが現存している喜び。このワイナリーと彼らがいなければ日本のワインのはじまりはもっと遅かったかもしれない…。

~ 次回へ続く~



全面協力:フランス観光開発機構、Agence Régionale du Tourisme Grand-Est 、OFFICE DE TOURISME DU GRAND REIMS、TROYES CHAMPAGNE TOURISME


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