[インタビュー記事]

はじまりの、ワイン。
#15.
Wine

ワインってなんだか敷居が高い?
いえいえ、そんなことはありません。

日本最大手ワインスクールの現役講師に、
ワインに興味がない方や初心者でも
楽しめるコツをお聞きしました。

◆ Profile:
小澤メイス謙 氏(以下、小澤):創業約30年の日本最大手ワインスクール『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。J.S.A.認定ワインエキスパート、日本酒利酒師。

金融、経済、IT、音楽、おたく、B級グルメ、写真など多彩な引き出し持ち、ワインの学習を通じて『飲食と文化のつながり』を重視して伝えている。

――― ワインの魅力を感じたきっかけは?
小澤:私とワインとの出会いは、旅先で飲んだ美味しいワイン!...ではなく、実はコンビニで見かけたボジョレーヌーボー。それまでは赤ワインの渋みが苦手で、どちらかというと敬遠していたお酒でした。

私はお酒好きで、チューハイに変わる飲み物を探していた時、たまたま見つけたのがボジョレーヌーボー。渋みがなく飲みやすく「あれっ、美味しい」といった偶然の出会いでした。翌日にはワインショップに足を運ぶようになり、色々なワインを試したのがきっかけです。


ワインって「食べ合わせのコツ」を知ると、世界が変わるんですよね。

私は昔、青かびチーズが食べられなかった。でも甘口ワインとの食べ合わせが美味しいと聞き、試してみたら本当に合う。食べられるどころか美味しいと感じるまでになりました。

他にも、生牡蠣に合わせるなら辛口の白ワイン「シャブリ」と相性が良いと言われますが、なぜなら、これはシャブリのブドウが『石灰質土壌で育つことで土壌内にあるミネラルを吸い上げ、そのブドウで造られたワインがたっぷりとミネラル含み、臭い消しの役割をするから』なんです。その理論を知ることで、じゃあ生牡蠣の代わりに生魚を合わせてもいいね、と自分で応用ができるようになりました。味の構造を知り、ワインを知るということは一種の味覚トレーニングかもしれません。

私は『アカデミー・デュ・ヴァン』で講師をしていますが、そういったワインの楽しさを1人1人にお伝えしたい。ワインは敷居が高いだなんて感じさせず、「楽しい!もっと知りたい!」そんな身近な存在なんだと知っていただけたらと願っています。


ワインと相性がよいのは
エイヒレ?!

――― 初心者に向けたおすすめのワインや、食べ合わせはありますか?
小澤:初心者の方でワインを敬遠される理由として、主に「酸味(酸っぱさ)が苦手」という点があります。そこでおすすめしたいのは、果実味を楽しめるアメリカ産赤ワインのブドウ品種「ジンファンデル」。非常に飲みやすく、アルコール度数も十分で飲みごたえがあります。

また、南仏からスペインで多く栽培されているブドウ品種「グルナッシュ(ガルナッチャ)」を使用した赤ワインは、タンニン(渋み)が控えめな仕上がり。こちらも果実感を楽しめるのでおすすめです。「ワインって美味しい!」から入ってしまえば、きっとワインの印象も変わるはず。

あとはスーパーマーケットでもよく見かけるブドウ品種だと、アメリカ産の「シャルドネ」。こちらは白ワインですが、樽香である甘いバニラの香りが特徴的で、グラタンなどのホワイトソース(乳成品)との相性が抜群ですね。


甘辛タレと白ワインの相性も抜群なのだとか。

小澤:最近の私のマイブームは、少しマイナーですが『マスカットベーリーA』というブドウ品種を樽熟成した『赤ワインと鶏ささみの梅肉和え』の食べ合わせ。ちなみに、先程ご紹介した赤ワインの「ジンファンデル」には焼き肉など少し甘い焼肉のタレが、「グルナッシュ」にはエイヒレが合ったりします。意外でしょ?

そういった意外な印象を生み出すような食べ合わせを探すことも、ワインの楽しさの一つかもしれません。


ワインで変わる
旅の行き先

――― ワインの選び方や組み合わせで、印象は随分変わりそうですね!
小澤:そうなんです!ワインはそういった食べ合わせを探る面白さがあり、また、ワインを取り囲む背景を想像することでも、楽しみ方は大きく変化します。

私の場合、ワインを学んだことで、訪れる旅先もワイン中心になりました。例えばイタリアであればミラノやローマもいいですが、ワインを探しにプーリアやバジリカータへ足を運んだり。

ワインは単なる飲み物ではなく、その背景に歴史や人々の営みが見える『ストーリー性』が魅力の一つ。それぞれの品種の個性を重んじ、テロワール(「土地」を意味する言葉)によって大きく味が左右されます。その土地の立地、気温や気候状況など、環境が味に色濃く反映されていくのもポイント。

もし、旅先で「ワイン巡り」をする機会があれば、テロワールの知識やブドウの種類を事前に少し調べてみてください。「土壌が違うと、何が違う?」「湿度や風の様子は?」と五感が研ぎ澄まされていく感覚が楽しめますよ。ワイナリーツアーではほとんどのケースで畑を見せてくれますが、広いブドウ畑を見て「綺麗だな」だけで終わらせるのが勿体無い程、楽しみ方は多岐にわたります。


世界を広げる
コミュニケーションツール
「ワイン好き」

小澤:私自身、実は人とのコミュニケーション、話のきっかけ作りが少し苦手だった時もあったのですが、ワインが私を外の世界へ連れ出してくれたんです。

例えば、色々なワインを試したいけれど、ボトルワインって一人で飲みきれないじゃないですか。なので、そういった機会はなるべくみんなでシェアして飲むようになりました。『アカデミー・デュ・ヴァン』のスクールでも、様々な知識の取得や試飲はもちろん、多くのワイン仲間がたくさんいるので。

広がるのは人脈だけでなく、食や文化への興味、私の好きな映画に音楽…多方面に渡り、出会った人々が違う世界を繋げてくれる。「ワイン好き」で集まった仲間たちは、育った環境や職業、背景が全く異なり、普段出会わないような人ばかり。ワインは人との繋がりだけではなく、自身の世界観をどんどん広げてくれる面白いツールだと感じています。


日本最大手ワインスクール『アカデミー・デュ・ヴァン』

ワインに少しでも興味を湧いた方がいらっしゃれば、まずは是非ワインを色々飲んでみることをおすすめしたいですね。好き嫌いのマインドをいったんリセットして、赤、白、ロゼ、甘口、酒精強化ワインなど、ワインと呼ばれるものを全部!

そうすると、自分の好みが分かり、どうしてこの味わいになるのか理屈の部分が気になり始めたり。そして、今度はグラスの選び方や合わせる料理に興味が湧いていく。本格的に学び、理解できる幅が広がる度に、どんどん興味の範囲や食の好みも変わります。

ぜひ、ワインを通じて、新たな気づきと楽しい仲間を見つけ、ご自身のハッピーについて考えるきっかけの一つになれば、大変嬉しく思います。(取材:小澤メイス謙 氏)



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