[読み物]

ブルゴーニュ。
そしてボルドーへ。
#11.
France

パリを離れ、ランス、エペルネ、トロワ。怒涛の3日間を終え、次なる目的地はワインの王が待つ「ブルゴーニュ」。

今回は「ワインのお話し」(2部作)の後編:ブルゴーニュ~ボルドー編をお届けします。
>> 前回のお話「パリからシャンパンへ」はこちら

◆語り手:VELTRAあずさ
ベルトラ株式会社 ワイン事業プロジェクトチーム / 全面協力:フランス観光開発機構



カーブ・パトリアッシュ(Cave Patriarche)

4日目。
ブルゴーニュ地方に突入。シャンパーニュから南方面に約200Km下ったブルゴーニュは、ワインの王と呼ばれ、名だたるワインを作り出す土地だ。観光局Ms.エマニュエルやブルゴーニュ愛に溢れたガイドと出会った。


現地ガイドのユウコさん。
ブルゴーニュ観光局お墨付きのベテランガイドは、ワインツアーの案内を続けることなんと14年。元々観光局で働いていた彼女が大切にしているのは「信頼関係」。伝統を重んじるブルゴーニュの輪の中へ入るために文化や歴史を学び、一人ひとりの醸造家のもとへ足繁く通い詰めたのだ。

丁寧な関係作りが実り、「君が言うなら」とツアーを快く受け入れてくれるワイナリーも少なくない。ブルゴーニュの深い知識、パッションや愛情のこもったその語り口に、皆が惹かれるのが分かった。


ユウコさんとオスピス・ド・ボーヌ(Hospices de Beaune) へ。
ここはペストが猛威をふるった時代に、貧しい人のための慈善病院として建てられた。その運営資金は、建設者ブルゴーニュ公国の財務官ニコラロラン夫妻や地元の所有者が寄進したブドウ畑から作られたワインの売上で賄っていた。感動したのはその素晴らしい歴史ばかりでなく、モザイク柄の美しい建造物。

昔の処方箋に「一日一杯の赤ワイン」の記述を見た。ブルゴーニュでも「酒は百薬の長」なのだ。


5日目。
寒さは極限に。空に「雪の女王」が顕れたような錯覚を覚えた。 濃い霧が出た寒い朝。「シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョ(Chateau de clos de vougeot)」を訪れた。360度周りをヴィンヤードに囲まれた大きなシャトー。12世紀から修道士のワイン作りがされていた由緒ある場所。静寂の中、歴史が脈づいている。城のような重厚な造りのテイスティングルーム。騎士になったかのようだ。ここでの試飲は間違いなくお勧めしたい。


本来なら高速列車TGVでの移動のはずが、ストライキで運休…車移動で約700Kmの旅が続く。

6日目。
ついにワインの女王が待つ「ボルドー」へ。

ベルジュラック地区のワイナリー「シャトー・フィリー(Chateau Feely)」。ここでは自分のワインを楽しめる、ワインの「ブレンディング体験」ができる。

オーナー兼女性醸造家のMs.Caroは、南アフリカやニュージーランド、カナダなど世界各地に住んできた。ワイン造りだけでなく、ワインスクールや執筆活動を通して土地やワインの魅力を発信している。その活動が評価され、新設立の “French Wine Tourism Trophy”の教育部門で受賞した。


彼女の畑は醸造所を囲むように広がって、それぞれ異なるブドウ品種を植えている。「太陽が長く当たる土地には、光をたくさん必要とするブドウ木を植えてるの。土地の特性を知り生かすことが、良いブドウ、ワインづくりに繋がっていくのよ」満面の笑みで答えた。

農薬や添加物を控えることにこだわりながらも肩ひじを張らずに飲めるワインを追求している。納得のいくまでワインと向き合い、多くの人に届けるための努力と工夫を怠らない。そんな彼女のバイタリティが、ボルドーのワイン、そしてフランスワインの門戸を広げ、ファンを増やしていく。


最終日、7日目。
最後の訪問地 。ソーテルヌ格付けプルミエ・クリュ・クラッセ「シャトー・ギロー(Château Guiraud)」。格付けの称号を受けた1855年から現在まで、しっかりと伝統の味わいを守っている。そして次世代に向けた少しライトな味わいのワイン展開も始めている。なんとも彼らの進化のバランスが絶妙。


そして、グラーブ地区にある「シャトー・ヴィーナス(Château Vénus)」へ。オーナー兼パイロットのMr.BERTINが操縦するセスナに乗って、上空からテロワールと美しいシャトーを眺めるショートトリップへ。空からの景色で胸がいっぱいになる。大地を愛し、人を愛し、人生を愛する、人間醸造家たちとの再会の旅、この体験を多くの人に届けたい。お客様を連れて来ます!と感謝で旅は終わりました。


- あとがき -

Because of Terroir”「だってテロワなんですもん」

ワインの合言葉?と思うくらい、旅先でこの言葉を何度も耳にしました。ワインの味わいを大きく左右するのは、気候、土壌、地理条件などブドウを取り巻く自然環境を指す、テロワ―ル(「土地」を意味するフランス語から派生した言葉)なのです。

この旅で出会った人々の共通点、それは「テロワールへの愛情」。代々継がれてきた土地を守り、誇りを持って伝えようとするその姿から「強烈に惹きつける何か」を感じずにはいられません。

再び海外へ、フランスへ訪れることができた時には、ワインの世界とそれに携わる人々の魅力を楽しんでいただけましたら幸いです。(VELTRAあずさ)


全面協力:フランス観光開発機構、Bourgogne-Franche-Comte Tourist Board、Office de tourisme Beaune、Office de Tourisme de Dijon Métropole、Tourist office of Bergerac、Gironde tourism、Nouvelle Aquitaine Tourist Board、Bordeaux Tourism and Congrès

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