日本遺産「医光寺」総門はかつての七尾城大手門からの移築

Mysterious Masuda
静謐で不思議な「益田」を旅する
Talk#23. Masuda

今から約400~800年前、
武士が力を持ち始めた鎌倉時代から室町時代まで、中世と呼ばれる時代にひときわ輝きを放った町があります。
それは東京でも京都でもなく島根県の西端にある「益田市」です。
奇跡的に残ったその土地に不思議な力が!心と身体が癒される田舎旅にご案内します。


◆ Profile:
VELTRA 凛子:ベルトラ株式会社スタッフ
取材や営業で昨年は「益田」に通いつめた。海外旅行のようなワクワクする日本の田舎の魅力「日本もオモシロイ!」を届け、地方の課題解決の一助となるよう邁進中。

石州瓦の煌めきと、中世の輝きがここに
中世ヨーロッパですか?いえ益田氏の城下町です

「益田の応援をして欲しいのです・・・」
最初に相談をもちかけられた時、日本海に面する島根県のそこはいずこか?出雲?松江。益田ってどこ?と正直思った。ところが実に良いのである。近いのである。オモシロイのである。期せずして大いにはまった。羽田空港から90分で更に街まで15分。センスあり魅力溢れる不思議な田舎「益田」に熱が冷めやらない。

羽田空港から現在は毎日1便の8:10am ANA(NH725)で飛ぶ。朝の富士山を眼下に眺めるのも束の間、日本海に比翼が大きく傾くと9:40am 萩・石見空港着。フライトに合わせて待つバスに乗る。益田川とダムのない清流日本一の高津川、二つの川に挟まれた益田駅に10:00am到着。赤褐色「石州瓦」の輝くまちが迎えてくれる。どの家の屋根も独特の赤色と艶に輝いている。中世ヨーロッパの街にタイムスリップしたみたいだ。


益田を流れる「高津川」は悠久の時の流れと寄り添うかのように今日も穏やか
初春には稚アユが遡上する姿も見られる

益田市は西国一の大内氏や毛利氏の傘下で力を伸ばした「石見国」西部最大の領主益田氏の城下町だった。乱世を生き抜いた遺産都市には手つかずのお宝や謎がある。一言では語れないその謎ときは、是非一度益田を訪れて体験してほしい。城下町益田は乱世にあっても文化度の高いまちだ。画聖・雪舟が築いた庭園は数あれど、国の文化財となっているのはわずか5つ。そのうち2つが益田にある。

萬福寺と医光寺。萬福寺の庭園は心を照らす庭。医光寺は自然と対話する庭。どちらも歴史の古い由緒ある寺院である。画聖雪舟は崇観寺(医光寺の前身)五代の住職として入山しこの国宝的名園を遺している。

医光寺のしだれ桜を見てみたい「いつか桜の季節に!」の念願叶うか、今年こそはと女子8名で計画を立てた。家事と育児と仕事、働き盛りのピークを助け合った仲間。彼女達と鑑賞する桜は一生の宝になりそうだ。桜の季節が待ち遠しい。そして季節を問わず、畳に座って我を忘れる不思議な空間。一同ここで静まりかえる。繁栄と平和を築いた益田氏の文化への深い造詣が今も息づいている。


鶴をかたどった池と亀島、山には儚げなしだれ桜
益田氏と雪舟が共に眺めた時空を超えて

土の魅力「雪舟焼」と「グラントワ」
「詫び寂び」と「モダン」が土を介して交錯する

「雪舟焼」の登り窯が、現在の医光寺右手奥にある。数回訪れたあとで、作陶体験ができるのか聞いてみた。ここでろくろを回せる幸せ!雪舟焼窯元二代目の福郷徹さんが直々に出てきて教えてくれた。田舎ならでは贅沢だ。古陶器を偲ぶ寂びた土色は実に味がある。この土の感触も格別、優しくて癒される。忘れた頃に届く楽しさ。登り窯で焼かれた茶碗を使ってみると、なんとも軽くて心地よい。

グラントワ(フランス語でGrand Toit=大きな屋根の意)は県立芸術文化センター、石見美術館、いわみ芸術劇場の3つの複合芸術基地。建物全体を覆う赤褐色の「石州瓦」その数28万枚、圧巻の芸術作品。美術館も古美術から現代アートやファッションと幅広く、センスが良い。中庭水盤アートは中世ヨーロッパを彷彿させる。ここがサイクリスト羨望の「益田INAKAライド」のゴールとは!なんという贅沢。水面を流れる水の音。石の魅力に癒される不思議な空間で時間を過ごす。


貼り合わせた「石州瓦」裏面には市民一人ひとりの名前が刻まれている
何度も行きたい美しいパワースポット

山陰の「モンサンミッシェル」で美しい夕日を
フランスの世界遺産!?似て非なるもの、でも美しい

衣毘須神社は岩礁の上に立っている。潮の満ち引きによって景色の表情が変わる。大潮の時には神社への参道がすっぽり海の中に消える。なるほどモンサンミッシェルだ。でも、ここは人も少なく静寂だ。貝を拾ったり小石を投げたり、なぜか、皆、童心にかえって戯れる。季節がよければ海に浸かる。ゆったりした時間の流れを感じる幸せ。美しい夕焼けを拝んだら、お待ちかねのあの場所に。あの人達に会いにいく。

夕焼け空に映える衣毘須神社
     静寂の中沈みゆく夕陽を眺めるのも贅沢な時間

「日本一の居酒屋は益田にありました」

「田吾作」へ

月刊Dancyuに7ページに渡って掲載!された本物の店

宿は益田温泉マスコスホテルと決めている。スタイリッシュなホテルの裏手を歩いて数分の「田吾作」に毎回通う。佇まいは田舎の一軒家。玄関を入ると懐かしい銭湯の靴箱。地下への階段を降りる。そこにはフレンチの3ツ星シェフを唸らせる、The 日本の食の世界が広がっている。お婆さんのハルさんと耕さんがきりもりする。

すべて手作りで、生きているものしか出さない。命をいただき、命が吹き込まれるようだ。手作り豆腐や野菜炊き合わせに加え、その時の旬の食材が出される。食の月刊誌Dancyuが特集を組む理由がわかる。3つ星シェフがハルさんの手を見て言った。

「僕たちはまだまだ努力が足りないね」そのセリフが忘れられない。人気や時代に流されず、信念を貫く「田吾作」さんに学ぶことは多い。


写真以外にも益田牛の七輪焼きは絶品、イカはあれば必ず出される逸品
ベルトラからの予約はプラスサービスあり

柴犬の聖地「石号の里」は美しい都、美都にあり
世界に名だたる「柴犬」は益田生まれ!

国の天然記念物であり世界的に大人気の日本犬「柴犬」のルーツは益田だった。昭和の初めに益田市美都町にいた石州犬「石号」は地元では「石見犬」とも呼ばれていた。美都は町の中心、益田駅から車で30分。道の駅サンエイト美都を拠点に、柴犬の里「石号記念館」を見学し、ここでしか獲れない滋養ある絶品野菜やフルーツの買い物がお勧めだ。

東京から故郷に戻り、美都の生産者を応援している人を私達も応援したいと思うようになった。今、まさに旬の美都のイチゴや、季節を問わずに益田の魚介類を直送する中華料理「瑞雪」も美味しいだけでなく、そのひたむきな職人の姿勢に心が動く。併せてご紹介したい。

足を延ばせば匹見のワサビ。ゆずの新芽、幻のホンモロコ、時間があれば石見神楽も。誰といつ訪ねるかで様々な楽しみ方がある。応援したい人が増え、紹介したいところが尽きない。続きはいつか続編で!

不思議なご縁で通ってみると、いつのまにやら益田のとりこ。次は何しに?とワクワクする。心ゆさぶられる体験だ。その土地の人と生活、文化や食には未だ知られていない大きな宝があると知った。この幸せを多くの人に届けたい。萩・石見10:20am羽田空港着11:50am(NH726)で午後から十分働ける。

やはり日本は素晴らしい。日本はまだまだオモシロイ。
是非一度、益田の「田舎旅」にお出かけください。
煌めくまちでトキメキを!



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